ホーム > 旅の栞OBOGコラム > vol.12 まゆゆ 5/5

vol. 12 「迷走の4年間」から帰ってくるまで 5/5

まゆゆ

 

新しい仕事へ

 

 ドトールでの日々は充実して楽しいものだった。そうはいっても、アルバイトでできることには限りがある。自分で自分の生活を守ることができるようになりたいと思った。

 

 2019年に入りすぐ、転職エージェントに相談に行った。何をしたいのか明確ではなかったが、たくさんの学生と接していたことが忘れられず、そういった経験がまたできないかとぼんやり考えていた。

 

 そして、1社目に面接を受けに行った人材紹介会社に入社することになった。キャリアアドバイザーとして求職者の話を聞き、求人を紹介する仕事である。同社は特に、若年層の転職に力を入れている会社で、「支援」の観点を大事にしている点が、非常に共感できた。求職者の方の背景はさまざまなので、これまでの私の経験はどれも無駄にならないことも知った。出会いはたまたまだったが、一次面接が終わったときには、ここにいくしかないと決意を固めていた。内定をもらえた時は、これ以上ない巡り合わせだと思った。今度こそ覚悟を決めて向き合いたいと思った。

「でも明日はくる」

 

 入社してから時間はそれほど経っていないが、やっと仕事がおもしろいと思える日々を送ることができるようになった。また、あの4年間があったからこそ、新しい仕事で何があっても大丈夫と思えるようになった。これから仕事がすべてうまくいくわけではないだろう。仕事でできることに限界はあるから、また悩むこともあるだろう。それでも今度こそ、しっかりと仕事に向きあってきたいと思う。  

 思えば、人の話を聞いてコメントをすることは、大学と大学院をとおしてゼミで勉強してきたことを土台に、いろいろな形で伸ばしてきたおかげかもしれない。他人にはとても勧められないような力の伸ばし方だが、なんとかこのような形に行き着くことができて、ひとまずほっとしている。

 

 安室奈美恵さんの曲は今でもよく聴く。ただ、前とは少し違う聴こえ方になっていることが多い。「でも明日はくる」は、いま希望を持つことができる歌詞として聴こえている。

おしまい

「迷走の4年間」から帰ってくるまで
1 | 2 | 3 | 4 | 5