【Report:調査結果】






【まとめ】

「東京ディズニーランドフォトスポット調査」のフィールドワーク全体を通して、同じ敷地内であっても場所と人の組み合わせによって撮影の仕方もさまざまであると感じた。
パートナーズ像付近では、像の前に立ちピースなどの定番のポーズで写る、シンプルな「記念写真」スタイルが多かった。これは入園して初めて景色が開ける場所であり、さらに写真スポットとしても一つのオブジェとしても知名度の高いパートナーズ像がそこにあるからだと推測できた。また、東京ディズニーランドの顔ともいえるシンデレラ城もその奥に見え、東京ディズニーランドに遊びに来たことがすぐに見て取れる構図が完成するというのも理由の一つであると考える。
トゥーンタウンにある檻のスポットでは、撮影のポーズに一貫性が見られた。ほとんどの人が檻に手を添え、捕まってしまったポーズをした。これは、「中に閉じ込められる」ことが仕事の檻というモノの特性と、このオブジェが中に入って撮影することを誘導するようなデザインであることが要因であると推測できる。比較的に若い人が多く、コーディネートを合わせている人も多かった。10~20代にお揃いのアイテムを持つ人が集中していた。
トムソーヤ島いかだの乗車口では、交通量に対して撮影を行う人が比較的に少なかった。またその場所を活かした撮影をする人がほとんどおらず、持っている食べ物やグッズを撮影していた。デジタルカメラを使って写真をこだわって撮る人がいなかったことからも、ここは一般的に撮影スポットとして訪れる場所ではなく、たまたま気軽に写真を撮ろうとした場所がここだった、というケースがほとんどのように推測できる。
追跡調査では、一つのアトラクションを一人で3回利用して撮影に没頭する、写真を中心に行動している人や、充実した機材がなくてもスマートフォンとそのライトで工夫をする人、化粧直しをしながら自撮りをするなど気軽に撮影を楽しむ人などさまざまであり、写真の楽しみ方の多様性を感じられた。自分たちの知らない写真の楽しみ方を垣間見れたようで、ある意味自分の世界の狭さも感じた。
このように、スポットや人が違えば、撮影の仕方やもっと言えば東京ディズニーランドでの過ごし方が異なることが今回の調査を通して一番印象的であった。一つ共通の傾向があったとすれば、機材はスマートフォンが圧倒的に多いことであった。SNSがブームであり、本格的なデジタルカメラを所有する人が増えているように感じていたが、数字で出してみるとスマートフォンの使用率の高さに驚く。手軽さがそれを招いているのだと推測した。
2018年度長谷川ゼミとしては初めてのフィールドワークであり、準備段階からまとめあげる作業まで、至らない点は多々あった。準備段階としては自分たちの世界の中で進めてしまったことがあげられる。具体的には、調査シートを作るうえで、撮影の方法(自撮りなど)の欄を該当するものに〇をつけるタイプにしてしまったことがあげられる。このタイプは自分たちの知っている範囲内での撮影方法しか存在しないことを前提としてしまっており、まさに自分たちの世界の中で作り上げてしまった調査シートである。これは改善し、どんなパターンにも対応できるよう完全スケッチ型の調査シートに変更したが、それ以前にフィールドワークの練習もかねてシミュレーションをしておけば気づけるはずのことであった。まとめの作業に関しては、表や文字が中心となり読み手が想像をしづらいようなまとめ方になってしまったように感じている。写真をもっと撮ることや、わかりやすい図を載せるなど、工夫できることはもっとあったのではないだろうか。しかし、これらの反省は今回の調査だけでなく、今後フィールドワークをするときやまとめるときに活きるものである。ここで学んだことを無駄にせず、今後の活動の糧にしていきたい。