第3期ゼミ長<しおりん>さんには2012年8月26日にインタビューしました。
聞き手はあお、話し手はあかで色が分かれています。
それでは、ごゆっくりお楽しみください。


◆ちょっと自分を客観的に見られるようになったかな

ちえみん ひとつめの質問なんですが、長谷川先生の授業を受けてきて今の自分にどんな影響がありますか?

しおりん 長谷川先生の授業で一番印象に残っていて、自分の考えも変わったなぁと思うのはやっぱりデジタルストーリーテリング(*)。あれは映像を作ることによって一個の物事とか体験したことを客観的に見なくちゃいけないじゃないですか。そのときはそう思わなかったけど、映像を作ることで、当時自分がどうだったのかを客観的に見れるようになったのが一番大きいかなぁって思った。

*デジタルストーリーテリング

ちえみん ちなみになんのことについてやったんですか。

しおりん テーマが、本当に今になってもよくわからないんだけど、高校の時に吹奏楽部に入ってて、ずっと部活が嫌でボイコットしてたっていうのを…

ちえみん ボイコットしたんですか?

しおりん ボイコットした。

全員 (笑)

しおりん なんか、周りの部員とあんまりうまくいかなくて。ひたすらそのときは周りの人や先生が嫌だ!みたいなかんじで。私はもう行きたくない行きたくない!ってずっと部活に行くことを頑なに拒否し続けてた。でもそれを映像にする時にはじめて、その時の自分の姿を思い出したというか…そのときどうだったかな、っていうのを考えたことで、あたしの態度にも問題があったことがわかって。そこから考え方と言うか、ちょっと自分を客観的に見れるようになったかな。

ちえみん 本ではない本(*)では何を作られたんですか?

*本ではない本
しおりん 本ではない本は、おもちゃ箱(*)みたいなのを作った。

*おもちゃ箱
ちえみん あ!あのおもちゃ箱ですね!アーカイブページ用の写真撮影でみました。

しおりん あー(笑)

ちえみん めっちゃいっぱい入ってるぞ!って話してました(笑)

しおりん そうそうそう。本ではない本では、羊がテーマの人と、イラストがテーマの人と、わたしはアニメがテーマの人で、なかなか共通する話題みたいなのが見えてこなくて。話し合いも、ゼミに入ってみるとすごく大事だなっていうのが分かるんだけど、その時は全然話し合いとかなくて。だから、あんまりいい出来ではなかったんだ。

黒帝 あんまり積極的に話し合いの場を設けたわけではなかったんですか。

しおりん そうだね…そこまで重要だとは気がついていなかった。とりあえずやんなきゃってのはあったんだけどね。



ちえみん 結構先生の授業ってグループワークが多いじゃないですか。それが特徴的かなって思うんですけど、グループワークで授業することに関してはどう思ってましたか?

しおりん グループワークの大切さを知ったのは3年ではじめて集中講義(*)をやった時かな。すごい私この人苦手だなぁって人とグループが一緒になっちゃって…。

*集中講義

ちえみん うわあ。

しおりん それまでは話したこととか、全然なくて。実際に集中講義で話をいろいろ聞いたりしてた時に、ああこの人結構面白い人なんだなぁってことがわかって。集中講義ではなんで自分がこう思うのか、みたいなところもだんだん突き詰めていかないといけないから、話しているときに結構深いところまで掘り下げて相手のことも知れるんだよね。そのときになんかすごく…相手にすいませんでしたって思った(笑)
そう思うようになって、それからあんまりこの人が苦手!とかって言うことなく、人の話を聞くのが楽しいと思うようになった。

えみし じゃあ人との向き合い方もだんだん変化していったんですか?

しおりん そうだね。

ちえみん 集中講義って大きいですよね。

しおりん 大きいねぇ(笑)



◆1歩踏み出すのが大変だった

ちえみん 長谷川ゼミに入ろう、っていうきっかけはなんでしたか?

しおりん そうだね…1年の時からずっと長谷川先生の授業を受けてたんだけど、卒論でこれについて書きたい!ってものがゼミに入る前はなくて。でも私は先生のゼミ行ったほうがいい気がする!って思ってた。さっき話したデジストがきっかけで考え方が変わった、っていうのもあるからそういう経験がもっとできるんじゃないかと思って、ゼミに行くことにしました。

ちえみん ゼミ長っていうのはどうやって決めたんですか?

しおりん それが、先生のご指名で。

ちえみん あ、この年からそうなんですか。

黒帝 今年もそうでした。

しおりん なんか、あとから聞いた話なんだけど、「ゼミ長決めなきゃねってなった時ぜったい自分からやりますって言わないでしょ?」って先生から言われて。

ちえみん そうだったんですか。

しおりん 後で言われました。今でも結構ネタにされます(笑)

ちえみん ゼミの活動では最初ゼミ長として大変だったこととかありましたか?

しおりん そういう○○長っていうリーダーシップを今までとったことがなかったので。逆にやったことがないからこそ、頑張らなくちゃ!って思えた。それまでの自分だったら絶対こうやらなかっただろうなってことを、あえてやらなきゃいけないんだって感じだった。それをやる勇気みたいな…、一歩を踏み出すのが大変だったかな。
だから本当に自分が今までしてこなかった経験をさせてもらった。今まで自分はそれを避けていたかもしれない。そういうリーダーシップを発揮するとか、自分から進んで何かやる、みたいなことを自分で進んでしてこなかったっていうのはすごく思う。

ちえみん 周りのゼミ生に相談したりもしたんですか?

しおりん うーん…あんまりがっつり相談したことはなくて、なんか本当に自分の考えで進んで行っちゃった感じはあるんだけど。まず先生にも言われたんだけど、やっぱり自分がやらなきゃいけない、自分がゼミ長だから率先してやらなきゃいけないみたいな気持ちは常にもって取り組んでたかな、って感じです。

さちこ 私たちの集中講義の運営(*)をしてくれたじゃないですか。どうでしたか?

*集中講義の運営

しおりん 集中講義で先生の助手をやらせてもらって、1年前は自分たちが受ける立場だったけど、運営する立場で受講生を見てて、あー行き詰るってこういうことかって思った。1年越しに運営する立場でやったことが自分を客観的にみることにもつながってた。あとはすごく思ったのが、先生の助手として記録班や現場班に報告をもらって先生に伝えたり、先生のアドバイスをみんなに伝えたりとか自分がしなくちゃいけなくて。それって集中講義だけじゃなくて普段のゼミの中でも言えることだなぁって思って。そこに気がついてもっとこういう報告を流したりとか、様子どうですかみたいなのを聞いたりとかしなくちゃいけないんだなって思いました。

ちえみん 私たちの集中講義と、しおりんさんたちの集中講義はやっぱり全然違いますか?

しおりん うん、違う。そこで得られたこととか気付いたことが違う。やってることは毎年同じようなことなんだけど、一年目は課題そのものや話し合いをしていく中での気づき、二年目はその姿を客観的にとらえることができるようになって、そこで気がつくことっていうのは違うことがあるんだなって。違った難しさがある。



◆このままじゃいけない!



ちえみん 突然話が変わるんですけど、今お仕事は地元でやってるんですか?

しおりん そうだね、地元の会社で。

ちえみん 卒業してゼミから離れて、振り返ってみた時になにか気付いたこととか感じたことっていうのはありますか?

しおりん やっぱり、ここまで自分の好きなことと言うか自分にとって切実なものについて追及できる場って本当にないなって思った。仕事はじめてみてすごい思う。うちの会社がそうなのかもしれないけど、すごい…自分のことは出すなみたいな感じなので。

黒帝 ええ!!

しおりん 結構組織がしっかりしてて…。

ちえみん 堅めの会社なんですか?

しおりん そうだね。組織がしっかりしてて人数も多いからかもしれないんだけど、自分の趣味とかをあんまり出せないっていうところで…。

ちえみん えー!

しおりん だから、今までゼミで自分の好きなことについてがっつりやらせてもらってたから、すごいギャップを感じて、えええ!?みたいな感じになっちゃってる(笑)

ちえみん それ、すごいギャップですよね?

しおりん そう!

ちえみん ゼミの状況から比べたら。ゼミでは自分のことしゃべれ!って言われてるので。

しおりん うん、そうそう。まったく逆ではないけど…仕事にそういうもの必要ないでしょみたいなそういう感じで。

一同 えええええ!!

黒帝 なにか他にやりたいこととか考えてたりするんですか?

しおりん 卒論を書いてみてやっぱり気になったこととか今もちょいちょいあって、そのことについてちょっとずつなんか考えを進めていきたいなぁ、って今考えてるところ。具体的にこうっていうものは決まってないんだけど。うーん、なかなかそれができずにいる。仕事があるからね。

ちえみん そうなんですか。

しおりん 夜は残業が多い。夜遅くまでやってたりもするから、なかなかこう時間がないっていうのかな。そのことについてとか、自分のことについて考えられる時間がそんなになくて。結構もういっぱいいっぱいな感じ。

黒帝 仕事やってて、授業でやったことを思い出したりしますか?ああいうことやってきたなぁ、とか思うことってありますか?

しおりん そうだね、やっぱり仕事をしてると、自分の考えたいことみたいなものがなくなっていっちゃいそうで、忘れちゃいそうな感じになるから…もうなんか必死にみんなのブログとかHP(*)とか見て、ああ、みんな頑張ってるなぁ!とか思ってる。

*ブログとかHP

黒帝 ありがとうございます。

しおりん このままじゃいけない!自分にもまだちょっとやれることがあるんじゃないのかな、って。

ちえみん …社会人って大変なんですね。

黒帝 うん、思った。同時に今ゼミでやってることって本当に大切なことだったんだなって。

ちえみん 今はゼミにいることでゼミの大変さが当たり前になっちゃってるけど、この大変が幸せなんですね。

しおりん 幸せなんだよ、本当に!

黒帝 ゼミでこうやって考える機会があるっていうのは幸せなことなんだって思います。

しおりん うん、本当にね。



◆自分の頭で考えるってことはちゃんと続けていきたい



ちえみん 長谷川先生の授業では、毎回振り返りを授業の最後にやると思うんですけど、そのことについてどう思いますか?

しおりん わたしはいままで振り返りとかしたことなかったんだ。振り返らない主義みたいな。過ぎたことだから、知るか!っていうのがあったんで。でも今はブログを読み返してみたり、卒論読み返してみたりとかはするようにしてる。何かあると卒論読み返して、なんだこの文章、って思ったり。

ちえみん 振り返るとそのときとは違いますか?

しおりん そのときはもう本当にそのことでいっぱいいっぱいだったけど、振り返ってみるとこんなこともあんなこともできたんじゃない、っていうのはあるかな。

ちえみん 今回インタビューするにあたっていろいろ振り返っていただいたと思うんですけど、振り返ったことは今後に、役立ったりしそうですか?

しおりん ゼミを通して考えた事とか、自分の頭で考えるってことはちゃんと続けていきたいっていうのはあるので、仕事に負けないように、そこは進めていけたらなぁと思います。

ちえみん 長谷川先生についてなんですけど、いま長谷川先生という存在についてはどう思いますか?

しおりん 本当にいい先生に巡り合えたっていうのが一番大きいかなぁ。あんまり他にないような授業とか課題をやることが多いから印象にはすごく残るし、考えさせられるみたいなのは初めてだったなぁって。

ちえみん 芸術学科(*)って系列4つあるじゃないですか。最初からメディア系列って決めてたんですか?
*芸術学科

しおりん そうだね…メディア系列の授業も受けながら音楽系列行こうかな、どうしようかなぁって思ってた。最初音楽についてやりたいと思ってたけど、長谷川先生の授業にだんだんこうシフトしていって。音楽系列のゼミと長谷川先生のゼミどっちにしようかなぁって悩んでたこともあった。でもやっぱり音楽系列のゼミに行っちゃうと音楽のことしかできない。

ちえみん そうですね。

しおりん だからもうちょっと、広く視野を持っておこうと思って長谷川先生のところにした。先生の所なら音楽についてもできると思って。

ちえみん そうですよね。しおりんさんの卒論では、実際全く音楽とは違うテーマになりましたもんね。

しおりん そう、本当にね!(笑)全然音楽が出てこなかったね。長谷川先生にもそう言われる。

黒帝 やっぱりゼミに入る時は、音楽もできると思ったから入りたいってことは長谷川先生に話したんですか?

しおりん うーん、それもある。でも、それについてよりももっとアニメについて書きたいっていうのが大きかったのかな。わからないけど。漠然としていましたけど(笑)

黒帝 大学に入った時とは考え方が変わっていると思うんですけど、メディア系列を選んでよかったと思いますか?

しおりん よかったと思います。

黒帝 大学入ったばっかりの時にやりたかったこととは違いますよね。

しおりん また違うと思う…考えを自分の中でどんどん深く掘り下げていって、これがやりたかったってわかったのはやっぱり長谷川ゼミに入ったからで。大学に入ったばかりの頃やりたかった音楽のことについてもあまり深く考えていなかったんだよね。考え方は大学に入って学ばせてもらったと思う。

――註――
デジタルストーリーテリング
(略:デジスト)
2年次後期の授業で作成した写真とナレーションを使った映像作品です。
2010年度の授業では「今自分にとって切実なこと」をテーマに製作しました。

本ではない本
3年次後期の授業にて、4,5人のグループで制作した「雑誌」です。
それぞれ関心のある題材で論考を書き、既存の本とは異なる形の「雑誌」を発明しました。
詳しくはアーカイブページをご覧ください。

おもちゃ箱
<しおりん>さんのグループがつくった「本ではない本」の作品です。
詳しくはアーカイブページ「本ではない本」10年度の作品をご覧ください。

集中講義
3年次の夏休みに受講する芸術メディア系列必修の講義です。
3日間、あるテーマについてグループで話し合い、最終的に上演形式で発表を行います。
<しおりん>さんが受講した2010年度は「なぜ学ぶのか」がテーマでした。

集中講義の運営
集中講義は芸術メディア系列のゼミ生が運営しています。

ブログとかHP
2012年度長谷川ゼミHPのことです。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~hhsemi12/
こちらもぜひご覧ください!

芸術学科
明治学院大学文学部芸術学科は2年次からさらに専門的な分野を学ぶため、系列選択を行います。
系列は芸術メディア系列、音楽学系列、映像芸術学系列、美術史学系列の4つにわかれており、長谷川ゼミは芸術メディア系列となります。

▲上に戻る